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2015年4月5日日曜日

血圧を一気に下げる薬や注射はないのか?

Question

血圧を一気に下げる薬や注射はないのか?

Answer

高血圧の場合は、臓器の血液循環のしくみは、高い血圧値に適合した状態を保っているのです。ですから、1日や2二日という短期間で血圧を下げると、臓器では急に低くなった血圧への対応がしきれず、臓器の血流障害をおこす危険があります。特に腎臓は、血圧の急激な下降に敏感な臓器ですから、もともと腎臓の機能が低下している場合は、降圧に慎重さを要します。そうでなくても、急に血圧を下げると、からだ全体にだるさを覚え、疲れやすくなり、寒さに弱くなったりするものです。以上の理由から、血圧は数週間から数か月かけて、ゆっくりと下げるのが正しいのです。「薬をのんでいるのに、あまり下がらない」とあせってはいけません。これが主治医の治療計画なのでしょうし、また期待した降圧が得られていないのなら、医師は薬の量をふやすなり、他の種類のものを重ねるなり、計画の変更をしてくれるはずです。一刻も早く血圧を下げる必要があるのは、高血圧危機状態の場合だけです。高血圧性脳症、急性左心不全、くも膜下出血などがその代表ですが、このときは注射で血圧を下げます。もちろん急激な血圧下降で腎臓の血流障害はおこります。しかし、危機状態の脳や心臓を救うため、他臓器の多少の犠牲はいとわないという立場の治療なのです。なお、一般の降圧治療で使う薬は、1回のんだらすぐ効果があらわれるというものではなく、数日間のみ続けて初めて目に見える効果が出てくるのであって、これを内服でなく注射としたところで、それだけ早く効くというわけにはいきません。

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