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2021年1月6日水曜日

糖質制限食Q&A 欧米の「糖質管理食」と「糖質制限食」はどのように異なるのか?

Question

欧米の「糖質管理食」と「糖質制限食」はどのように異なるのか?

Answer

糖質・脂質・タンパク質の3大栄毒素のうち、血糖値を上昇させるのは糖質だけです。これは、食べ物に含まれているカロリーとは無関係の生理学的な特質です。

このことに注目して、糖質を制限して血糖コントロールをするのが、「糖質制限食」です。

一方、糖質だけが血糖値を上昇させることを前提に、1回の食事の糖質摂取量を計算して血糖コントロールをめざすのが糖質管理食で、欧米では定着している食事療法です。

これには、1993年に発表された米国のⅠ型糖尿病研究・DCCTにおいて、糖質管理食が成功を収めたことが大きく関係しています。

また、1999年度ミス・アメリカのこコール・ジョンソンさん(Ⅰ型糖尿病)の食事療法が糖質管理食であり、本を善かれたことも欧米での普及に役立ちました。

この糖質管理食は、欧米では一般的となっていますが、日本ではそれほど普及していません。

しかし、2005年の日本糖尿病学会総会で、米国から糖質管理食の専門医が招聘されてシンポジウムが開催されたあと、徐々に糖質管理食を導入する糖尿病専門医療機関が増えてきています。

また、2006に「かんたんカーボカウント」(医薬ジャーナル社)という糖質管理食の本が大阪市立大学の小児科グループによって出版されました。

 

2008年の米国糖尿病協会(ADA)の栄養勧告では、「炭水化物をモニタリングすることは、炭水化物計算にしろ、炭水化物交換にしろ、経験に基づく評価にしろ、血糖コントロールを達成するための鍵となる戦略である」と、炭水化物(糖質)を日常的に点検することを強く推奨しています。

また「減量が望まれる糖尿病患者には低カロリー食または低炭水化物食によるダイエットが推奨される」と糖質制限食に対して初の肯定的表現が記載されました。

前述の、炭水化物を計算する方法が、糖質管理食です。糖質管理食は、基本的に1日3食とも主食(糖質) を摂ることを前提に、その糖質のl回あたりの摂取量を計算します。

血糖値を上昇させるのは糖質だけなので、

例えば血糖コントロールに必要なインスリンの量を決めるのにはとても役に立ちます。糖尿病というと、甘い物(砂糖)がよくないと誰でも思いがちですが、とくに砂糖だせんべいだけが血糖コントロールに悪影響を与えるという事実はありません。

「ご飯もパンも煎餅もうどんもラーメンもケーキも砂糖も、そのなかに含まれている糖質の量に比例して血糖値を上昇させる」というのが生理学的な事実です。

糖質管理食は、糖質だけをグラム計算するシンプルな方法です。従来のカロリー制限 優先の糖尿病食に比べて、カロリー計算や食品交換表は不要なので、ラクに実践できると思います。

1 gの糖質が体重64 kgのⅡ型糖尿病の人の血糖値を約3割、l型糖尿病の人の血糖値を約5割上昇させます。体重32kgの場合はそれぞれ倍上昇させます。

「糖質1血糖値上昇」というシンプルな事柄に着目した糖尿病の食事療法という意味では、欧米の「糖質管理食」と高雄病院の「糖質制限食」は親戚筋といえます。「糖質管理食」の考え方をさらに発展させ、3食とも主食を摂らなくてもよいと徹底したのが、「糖質制限食」という見方もできます。糖

尿人の場合は、主治医とよく相談されて、糖質制限食が無理ならせめて糖質管理食を実践されると、血糖値の乱高下がなくなり、コントロールしやすくなります。

 

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